オフィスビルにおいて、エントランスや会議室フロア、エレベーターホールなどの共用空間は、来訪者にとっての第一印象だけでなく、そこで働く人にとっての快適性にも関わる重要な場所です。
照明や内装といった視覚的な演出に加え、近年では「香り」を取り入れた空間づくりも注目されています。
都内企業O様のオフィスビルでは、共用空間の印象向上や快適性向上、そして働く環境の質を高める取り組みの一環として既にフレグランスを導入しており、アンケート調査を実施しました。
その結果、香りの認知や印象評価に加え、空間の快適性や気分転換、さらに職場環境への好影響についても、多くの前向きな結果が得られました。
本記事では、その調査結果をご紹介します。
調査概要



- 対象施設:都内企業O様 オフィスビル内
- 設置箇所:1階エントランスホール/12階会議室フロア・待合エリア/B1階地下エレベーター前
- 調査方法:オンラインフォーム(Google Forms/Microsoft Forms統合アンケート)
- 回答数:101件
- 実施期間:2週間(2026年2月27日〜3月13日)
- 調査内容:香りの認知、印象評価、感じた変化、職場環境への影響、導入希望 など
今回の香り設計の考え方
今回の事例では、空間ごとの役割に合わせて香りの設計を行いました。
1階エントランスホールと12階会議室フロア・待合エリアでは、清潔感や上質感の演出、来訪者への印象形成を意識し、ホワイトティー&フィグを導入しました。やわらかく上品な印象を持つ香りで、企業空間にふさわしい落ち着きと洗練感を演出しています。
一方、B1階地下エレベーター前では、同フロアにある食堂由来のにおいへの配慮も踏まえ、リフレッシュ感と快適性を意識してグリーンティー&レモングラスを導入しました。
同じ建物内でも、空間の目的に応じて香りの役割を整理しながら導入を行いました。
アンケート回答者
今回のアンケートでは、オフィスビル内の共用空間を利用する方を対象に、計101件の回答が集まりました。
Google FormとMicrosoft Formに分かれて回収した回答を統合し、全体の傾向を集計しています。
今回の調査では、特定の1か所だけではなく、エントランス、会議室フロア・待合エリア、地下エレベーター前という複数の共用空間における印象や体感を幅広く確認することができました。
性別
- 男性:63名
- 女性:37名
- 回答しない:1名
年代
- 20代:36名
- 30代:31名
- 40代:17名
- 50代:14名
- 60代:3名
香りの第一印象
香りに気づいていた人は83.2%となり、多くの回答者が共用空間における香りの存在を認識していました。
また、香りの印象評価の質問については、以下のような結果になりました。

- 「やや好ましい」「非常に好ましい」:76.2%
- 「やや不快」「非常に不快」:4.0%
この結果から、今回の香り演出は強すぎる違和感を与えることなく、空間に自然に溶け込みながら好印象を形成していたことがうかがえます。
オフィス空間では、香りが強すぎると逆効果になることもありますが、今回の結果は、共用部において受け入れられやすいバランスで香り設計ができていたことを示すものといえるでしょう。
空間ごとの印象評価
設置場所ごとの印象評価を5点満点で見ると、以下の結果となりました。

- 1階エントランスホール:4.26
- 12階会議室フロア・待合エリア:4.01
- B1階地下エレベーターホール:3.92
全体として4.0前後の高評価となっており、場所ごとに役割が異なる中でも、共用空間全体で安定した好印象が形成されていたことがわかります。
特に1階エントランスホールは、来訪者や従業員が最初に触れる空間です。ここで最も高い評価が得られたことは、香りが第一印象づくりに寄与していることを示す結果といえるでしょう。
また、12階会議室フロア・待合エリア、B1階地下エレベーター前でも高水準の評価が得られていることから、香りは一部の空間だけを飾る演出ではなく、ビル内のさまざまな共用空間において快適性や印象向上に寄与し得る要素であることが見えてきます。
香りによって感じた変化

香りによって感じた変化について複数回答で質問したところ、
最も多かったのは「気分転換・オンオフの切り替え」で47件、46.5%でした。
次いで、
- 空間の快適性向上:36件
- リラックス・ストレス軽減:36件
- 来客対応の印象アップ:21件
という結果になっています。
特に、
「気分転換・オンオフの切り替え」
「空間の快適性向上」
「リラックス・ストレス軽減」
に関する回答が多く、香りが共用空間の印象を整えるだけでなく、実際にそこで過ごす人の気分や過ごしやすさにも影響を与えていることが確認されました。
これは、オフィスに香りを導入する価値が、見た目の良さだけでなく、働く人が気持ちよく過ごし、気分を整えやすい環境づくりにもあることを示しています。
職場環境への影響


今回のアンケートでは、香りの導入が職場環境に良い影響を与えているかという設問に対し、
86.1%が「良い影響を与えている」と回答しました。
また、共用部だけでなく、自席周辺など執務エリアにも導入したいかという設問では、
79.2%が「導入したい」と回答しました。
これは、香りが単なる演出ではなく、空間全体の印象や働く環境の質を高める要素として受け取られていることを示しています。
さらに、実際に香りを体験した人の多くが「共用部だけでなく執務空間にも広げてほしい」と感じている点は、香りがオフィスの付加価値として受け入れられている証拠といえるでしょう。
つまり今回の結果は、香りが“見せるための演出”にとどまらず、“働きやすい環境づくり”にも貢献し得ることを示しています。
利用者からのコメント
自由記述でも、香りに対する好意的な反応や、職場環境の変化を実感する声が多く見られました。
「エントランスの香りがとても良く、毎朝出社する際の気分が上がります。」
「地下の食堂付近の臭いが気にならなくなり、空間全体がとても快適になりました。」
「来社されたお客様から『とても良い香りがするオフィスですね』と言われました。」
「自席周辺の執務エリアにもぜひ導入してほしい」
香りそのものの心地よさだけでなく、出社時の気分が整うこと、においの課題が和らぐこと、来客対応時の印象が良くなること、さらには執務エリアへの追加導入を望む声があることから、香りがオフィス空間において多面的な価値を持って受け入れられていることがわかります。
オフィスビルにおける香り活用の示唆
今回のアンケート結果から、オフィスビルにおいて以下のような示唆が得られました。
- 香りは空間の第一印象を整え、清潔感や上質感の演出につながる
- 働く人にとっては、気分転換やオンオフの切り替え、快適性向上に寄与する
- 来訪者に対しては、企業イメージや空間品質の印象向上につながる
- 共用部での好印象が、執務空間への導入希望にもつながる可能性がある
オフィスでは、執務スペースだけでなく、エントランス、会議室、待合、エレベーターホールといった共用部も含めて、企業の印象や働きやすさが形づくられます。
香りは、その空間体験全体を自然に底上げする環境要素のひとつとして、有効に機能する可能性があるといえるでしょう。
特に今回のように、来客印象の向上と、従業員の快適性向上の両方に作用している点は、オフィスへの香り導入ならではの魅力です。見た目だけではつくれない“空間の質”を高められることは、オフィスづくりにおける大きな価値のひとつといえます。
実際のアンケート回答(原文)
アンケート回答の一部をご紹介します。
- 香りに対する印象:非常に好ましい
- 回答コメント:エントランスの香りがとても良く、毎朝出社する際の気分が上がります。企業としてのセンスと配慮を感じました。
- 感じた効果:気分転換・オンオフの切り替え/空間の快適性向上/来客対応時の印象向上
まとめ
今回のアンケート調査では、都内オフィスビル内の3つの共用空間において、以下のような結果が確認されました。
- 香りの認知率は83.2%
- 好意的評価は76.2%
- 不快率は4.0%
- 空間ごとの印象評価はいずれも高水準
- 職場環境への好影響は86.1%
- 執務エリアへの導入希望は79.2%
今回の結果から、香りはオフィスビルにおいて、空間価値や来客印象の向上だけでなく、働く人にとっての快適性や気分の切り替えを支える要素としても有効に機能する可能性が示されました。
オフィスに香りを導入する魅力は、単に空間をおしゃれに見せることではありません。来訪者にとっては印象の良い空間をつくり、働く人にとっては過ごしやすく、気持ちを整えやすい環境づくりにつながることにあります。
視覚的なデザインだけではなく、香りを取り入れた空間設計は、オフィス全体の印象づくりと職場環境改善の両面に寄与する取り組みとして、今後さらに注目されていくでしょう。
